IT調査会社のIDC Japanは12月15日、2012年の国内IT市場に関する予測を発表した。震災復興に向けた財政支出や企業のIT投資の回復などを受け、2012年の同市場規模は前年比でプラスとなり、国内経済全体でも前年比で2%成長すると見込む。

 同社が2012年の国内IT市場のトレンドや、ベンダーの動向などについて予測したレポートの概要は次の通り。

 

  • 国内IT市場は、復興財政支出政策の影響を受け、スマートフォン、ITサービス、ソフトウェアが市場を押し上げる
  • 国内クライアント市場は「マルチデバイス」時代に入り、モバイルデバイスが国内IT市場の成長をけん引し続ける
  • クラウドサービスがITのモダン化を加速させ、「モダンPaaS」を創生する
  • ハイブリッドクラウド時代を迎え、クラウドサービス向けIT市場のフレームワークが形成される
  • 事業継続/災害対策ソリューションは仮想化技術の進展とクラウドサービスの成熟によって再構築が進む
  • モバイルデバイス、3.9G/LTEサービスの早期展開によって通信事業者ネットワークインフラ市場が活性化する
  • 2012年はビッグデータ活用型アナリティクスビジネスのリーダーの座をかけた競争のスタートダッシュの年になる
  • 国内企業の海外ITシステム構築・運用をめぐる、国内/グローバル/オフショアベンダー間の競争が激化する
  • センサーネットからインターネットに接続する「スマートデバイス」が増え、デバイスの「ソーシャル化現象」が起きる
  • 次世代の最初の10万のスマートシティソリューションは「第3のITプラットフォーム」上に構築される

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photo 中村智明リサーチバイスプレジデント


 同社の中村智明リサーチバイスプレジデントは、「ITのプラットフォームには過去2回の大変革があった」とし、メインフレームの登場とPCの登場がそれらに当たると説明。さらに、2012年には「モビリティ」「クラウド」「ソーシャルネットワーク」「ビッグデータアナリティクス」が新たに「第3のITプラットフォーム」として台頭し、今後25~30年ほどの企業の成長の柱になると予測している。

 モビリティの分野では、2012年は2011年よりさらにスマートフォンやタブレットへの市場ニーズが高まると予測する。同社はスマートフォンの出荷台数が2012年中に2870万台に達するとみており、PCの出荷台数の約2倍になると見込む。タブレットの市場シェアは引き続きiPadが優勢であるものの、多機能なiPadとは異なる方向性を打ち出しているKindle Fireが、2012年下半期に国内でも販売されると予測。Kindle Fireが“台風の目”となって、市場が活性化するとみている。

 また、ソーシャルメディアの利用拡大によるWeb上のテキストデータの爆発的増加に伴い、それらを解析してビジネスに生かそうとするビッグデータアナリティクスの分野でも企業の競争が活発化するとみている。

 クラウドの分野では、企業へのクラウドサービスの普及が進む中で、パブリッククラウド、プライベートクラウド、従来型のITインフラといったさまざまな環境が混在するようになるという。こうした中、2012年は異なる複数のITインフラやサービスをいかに連携させていくかに注目が集まり、それを目的とした新たな製品・サービスが多く登場すると見込んでいる。

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